アゴラヘウナ

アゴラヘウナ

デンマークでも、シニア世帯は年々増加しており、2040年にはデンマーク人の4分の1が65歳以上のシニアになるといわれております。こういったシニアの方々が快適に人生を謳歌していただけるような建物を作ることは、大きな課題の一つになってきております。

Agorahaverneは、シニアの方々が快適で、充実した人生の後期を楽しんでいただくために作られる集合住宅です。シェラン島の西側、Slangelseの自然の中に建つこの集合住宅は、建築面積約5,000m2の3階建ての建物に約75戸の住戸が、透明な屋根で囲われた大きな中庭(アトリウム)を囲むように建てられています。

 

アトリウムの室内環境をデザインする

アトリウムでは、居住者の方々が散歩や趣味や食事を一緒に楽しむための場所として使ってもらえる他、ガーデニングなどのアクティビティを年間通じて楽しんでもらえるように、温暖な地中海性気候のような環境を目指して室内環境をデザインしました。アトリウムというのは、居室側から見れば屋外ではありますが、屋根や壁で囲われているので、完全なる屋外でもない空間です。居室のように厳しい温度の基準を満たす必要は無いですが、最低限床は凍らないこと、結露を起こして転倒などの事故を起こさないこと、またあまりにも不快な暑さにならないことは必須条件でした。

これらの条件を、天窓やエントランスなどの開口部からの自然換気、天窓から注ぎ込む太陽の光や熱、年間を通してゆるく一定している地面の熱、また居住者からの発する熱などパッシブなエネルギーを使ってどれだけ可能なのかを検討しました。デンマークの最新の気候データを元に、一年間を8760時間毎に分けて、その1時間ごとにアトリウムの温度や明るさなどの室内の快適さはどのように変化していくのかをシュミレーションしました。シュミレーションの結果から導き出されたエントランスや天窓のなどの開口部の位置やサイズは建物をデザインする建築家に大事なインプットとして渡されました。

 

Agorahaverneはドイツの環境基準DGNBを元に設定されたデンマーク版のDGNBでゴールドを目指してプロジェクトを進めています。

Tomonori Makita

Tomonori Makita

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